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2007年2月11日 (日)

国際協力におけるスポーツ協力の役割と影響

 ブータン難民支援活動を2か月後に控えた23日、西新宿中学校会議室で、青年海外協力隊としてモンゴルでバレーボールの指導経験を持つJICA(国際協力機構)横浜国際センター・大津和範さんから「発展途上国でのスポーツ協力の役割、影響、意義について」の講義を受けました。大津さんは自らの体験や同僚らの経験談を踏まえ、パソコンのデータを駆使して「現地の人以下の目線で活動することの重要さ」を約1時間、話しました。
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以下、その要旨をまとめました。

 モンゴルでの経験

私自身(大津さん)、中学から大学とバレーボーラーとして活躍。バレーボールを通じて発展途上国の人々とスポーツの楽しさ、面白さを分かち合いたいと大学4年生のとき青年海外協力隊に加入、モンゴルでは2年間、女子ナショナルチーム、中学生からストリートチルドレンまでコーチしました。マイナス60度にもなるという過酷な環境の中で、コーチらはウォッカを飲んで暖をとりながら練習しました。

モンゴルは相撲、弓、馬術が3大スポーツ。バレーボールの認知度は低く、ナショナルチームといえども当時、ボールは23個しかなく、体育館の床はあちこちに釘がとびだし、練習前に決まって釘をたたいて回りました。それでもメンバーは比較的裕福な人たちでした。

モンゴル人は自分たちの食料を削ってでも客人をもてなすという、優しい文化を持っている反面、悪いこともありました。学校にボールを贈呈したところ、コーチが酒を飲むお金ほしさに、そのボールを売っていたのです。「簡単に物を与えても人のためにならない」ということを痛感しました。本当に援助が必要な人にしか支援してはいけません。

難民とは

1)自由と将来がありません。医師、看護師、教師以外は働けず、資格など取れる環境ではないのです。

2)娯楽がありません。日本のように娯楽施設があるわけでもなく、これといった楽しみもありません。スポーツこそ生活に潤いを与えることが出来るのではないでしょうか。

3)難民は比較的豊かに生活しています。支援物資が多く、スラムの人より衣食住は恵まれています。スラムの子供たちには将来性や自由がありますが、どちらが厳しい状況下にあるのかといえば、疑問です。

ネパールのスポーツ事情

 ネパールの公立学校には体育がありません。体育は教育の中で最もプライオリティの低い分野です。ネパールで行われているスポーツはクリケット、バスケットボールくらいで、スポーツをする習慣はなく、バレーボールもあまり普及しておらず、知らない子供たちも多いようです。ただカトマンズには中国製のバレーボールを売っている店があります。

いずれにしても、モンゴルでの経験などからみて(スポーツ不毛の地で)スポーツの楽しさを教えることで、子供たちの笑顔が生まれ、学校に来ることが楽しみになり、ひいては就学率のアップに繋がるのです。この就学率アップこそJICA隊員の喜びなのです。

スポーツ支援の役割

 スポーツでは、人の命は救えませんが「生きがい」「活力」を与えることが出来ます。

WFPや医療支援では人の命を救い、空腹を満たしてあげることは出来るかもしれませんが、心を満たすことは出来ないのです。

またスポーツは健康維持・増進の効果もあり、保険医療費の負担も減ります。スポーツを通してビジネスなどが生まれ(現地の人がスポーツ教室を開くなど)、経済効果もあり、人材の育成や就学率向上も期待できます。更に、異文化交流のためのコミュニケーションツールにもなります。

スポーツ支援の役割は、現地の人たちの心を満たしてあげることが重要で、それを意識してバレーボールを教えることです。

国際協力をする上での留意点

 支援活動は現地の人のためにならなければ意味がありません。思い込みによる指導をしてはいけません。現地の人たちの意思を尊重しなければ「押し付け援助」になってしまいます。私たちが彼らに認められるためには、文化・宗教・社会・人を尊重し、同じ目線以下で彼らと接することが大切です。

 活動は住民参加型によるプロジェクトとして遂行しなければなりません。支援者が帰国した後も、教えられたことを住民同士が主体的に行い続けることが大切で、活動を広めてくれる現地のリーダーを見つける必要があります。わずか4日間の滞在では何も出来ないでしょうが、彼らと会話し彼らを「理解しよう、分かろう」とすることを心がけてください。

学生の質問から

Q バレーボールを教える際に、日本人と現地の子供たちの違いはありますか。

A 特にはありません。日本人に教えることも、言葉の通じない子供たちに教えることも同じこと。とにかく心を込めて教えてあげることが大切です。

 

Q 贈呈したボールが売られていたそうですが、むやみに贈呈しても意味がないのですか。

A ただ単に贈呈しても意味がありません。相手もこちらに与えてくれるものがなければ贈呈する意味はないのです。例えば、歌を歌うからバレーボールをくださいと言われたら喜んであげる。そのようなことで、彼らの金銭感覚も養っていけると思います。本当に必要な人にあげることです。ダマクでは短期間で出来ることは限られていますが、とにかく現地の人と話をして彼らを理解するよう心がけてください。

 

200723日         

山下寛晃

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